碧の森 〜もうひとつのガムラン |
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作曲家 ヴィンセント・マクダモット氏を迎えて | ||||
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マルガサリでは、ジャワの伝統的なガムラン曲を演奏するだけではなく、さまざまな分野の方々とのセッションや野村誠氏によるユニークな作曲法とのコラボレーションなどの共同作業の中からオリジナル作品を生み出してきました。最近では「エイブルアート」として、障害のある人々とともに音楽やダンスのコラボレーションを行っており、その新しい出会いの中からさらに斬新な表現を生み出しつつあります。 ところで、欧米にジャワの伝統的なガムラン音楽が知られて以来、各地の作曲家によってさまざまなガムランの現代作品が生み出されてきました。 マルガサリがこの度招聘するアメリカの作曲家、ヴィンセント・マクダモット氏もまた、西洋音楽を研究する中で1965年にガムランに出会い、その演奏技術を学ぶとともにガムランと西洋音楽の融合をめざしたオペラなど、数々のユニークな作品を作曲、発表してこられました。まさに、ガムランが欧米に渡りその新しい可能性を求めて世界に広がってきた歴史のまっただ中です。 私たちは約6週間の彼の制作に立ち会うことで彼の歴史と出会い、その音楽の歩みと積み重ねを溯るとともに「時空を超えたコラボレーション」を試み、さらに新たなガムランの舞台芸術作品の可能性を導き出すことをめざします。 音楽やパフォーマンスが時間を超越してコラボレートする。この試みは、ガムランのみならず現代音楽の新たな展開の契機となるものと確信しています。 また「ガムラン」の特性としてその演奏環境を含めて「何でも受け入れる」おおらかさがあります。にもかかわらず「現代作品のコンサート」と銘打つと、ともすれば客席に静寂を強い、「こども」の入場を拒む空気があります。たとえ入場したとしても観客にある種の「遠慮」と「緊張」を感じさせてしまう。 私たちは、むしろ積極的にこどもの入場を受け入れ、他の観客にもそれが自然な空間を演出したいと思います。感受性豊かなこどもや青少年こそ、さまざまな芸術に触れる機会を得てほしいと願うからです。会場となる碧水ホールは、先見性をもってガムラン楽器群を導入し、先端の芸術育成に貢献しておられ、今回の私たちの試みを快く受け入れてくださいました。 このコンサートが、さらなる地域の文化芸術活動の活性化、そして青少年の文化育成のために貢献できればこれほど喜ばしいことはありません。 そして私たちは、このおおらかなガムラン音楽を育んでこられたインドネシアの人々に敬意を表するとともに、今回のコンサートを機にガムランを通じて、インドネシア、アメリカ、日本との国際文化交流にさらに広がりができることを願っています。 なお、当日ロビーにてインドネシアコーヒーとジャワティのカフェをオープンいたしますが、その収益の一部を「スマトラ沖地震義援金」としてインドネシア総領事館を通じ寄付させていただく予定です。 |
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