さあトーマスという試み |
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中川真(実行代表者) |
1.はじめに |
ぼくたちマルガサリが障害のある人と出会ったのは、2004年4月のことですから、ちょうど1年前に遡ります。「たんぽぽの家」に新しいアートセンター「HANA」が竣工するため、そのオープニングとしてガムランの演奏をしよう、そして折角だから、たんぽぽの家のメンバーと一緒に演奏しようということになったからです。それが、こんなに緊密なコラボレーションに発展しようとは、想像もしていませんでした。 |
それまでに、マルガサリは共同作業をグループの表現方法の大きな柱のひとつとしていました。もちろん、その他の柱には、ジャワの古典音楽や舞踊があるわけです。 |
そして、野村誠さんをはじめとする作曲家との新作上演、あるいは和太鼓倭など異ジャンル演奏家との共演・・・など、かなりの数の実験を重ねてきました。それがいかにスリリングで面白いかということも実感しました。いまでは味をしめて、マルガサリのなかに小さなユニットができ、クラブに出入りしている人々もいます。だからこそ、それほど抵抗なく障害のある人との共同作業も開始できました。 |
5月以降もほぼ月に1回のペースで出会いを重ね、このエイブルアート・オンステージのプロジェクトに採択されてからは、ワークショップという名称の練習を11月から10数回もってきました。もちろん、「合わせる」練習回数としては十分な量ではありませんが、充実した練習ができたという実感はあります。もちろん、それはアート面からの様々な試みの投入の結果ですが、環境面つまりケア面からの支援がなければ到底できなかったことです。 |
このプロジェクトはアートの可能性を広げることが目的ですが、同時に、そのために敷かれるケア体制の試行でもあります。練習にのめりこむ余り、ケアしている人からすればハッと思うような危険なことも、多々あったのではないかと推察します。正直にいえば、最後の方などはもっと重ねて練習したかったのですが、それは無理であるとはっきり言われたりもしました。アート面だけではなく、そういった環境面での可能性や限界を探るのも、このプロジェクトの意味であろうと思います。 |
いずれにしても、今日までに至ったこの1年間の経験は、とてつもないぼくたちの財産となりました。それらが多くの人々と共有されることを望みます。 |
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